トルシア形普通ボルト(4.8)のセットの開発

トルシア専用レンチで締付するだけで、規定の締付け軸力・トルク管理を保証する

振動試験機(NAS式)で、緩みとボルト残存軸力を検証している

締付完了が目視でき軸力を保証する「トルシア形普通ボルトのセット」
の販売開始(2023年1月)

1. 新製品とその特徴「トルシア形普通ボルトのセット」 品番TM-TC1180

TM-TC1180

①従来-普通ボルトセットの課題と新製品「トルシア形普通ボルトのセット」のねらい

②「トルシア形普通ボルトのセット」の機能

③「トルシア形普通ボルトのセット」の特徴

④「トルシア形普通ボルトのセット」の使用用途

2. 新製品「トルシア形普通ボルトのセット」の規格

①締付と接合

トルシア形普通ボルトのセット
「トルシア形普通ボルトのセット」の締付軸力範囲

②ボルト・ナット・平座金の各寸法(単位:mm)

ボルト・ナット・平座金の各寸法

③機械的性質(JIS B1180に準じる)

機械的性質

3. 新製品「トルシア形普通ボルトのセット」の提供

①生産するボルトサイズ(単位:mm)

生産するボルトサイズ *上記にないサイズのご用命については問合せください。
*今後、高力トルシア用レンチメーカーとの連携により、ねじ径M12以下のボルトについても対応を計画しています。

②標準的な価格

③販売開始 2023年1月予定

4. 締付方法

①トルシア形高力レンチ

トルシア形高力レンチの構造図

②トルシア形普通ボルトセット(ボルト・座金・ナット)の構造と締付動作図

トルシア形普通ボルトセット(ボルト・座金・ナット)の構造と締付動作図

③締付の動作説明

(イ)施行前

  • 施工前のイ)図において、ボルトのねじ部先端には締付トルクにより所定の締付軸力が発生すると破断するように、ボルトのねじ径に則した径の破断溝②が設けられている。
  • 非締付け体⑥を、ボルト③の頭部⑨と、座金⑤を介してナット④とで挟み、ナット④を回して締め付ける。

(ロ)施工中

  • 締付レンチはナットを回転するアウターソケット⑦と、ボルトの先端部のピンテール①を掴むインナーソケット⑧の二重構造となっている。
  • 締付レンチのインナーソケット⑧をボルトのピンテール①のセレーション(断面菊花状の溝)に噛合わせ、締付レンチのアウターソケット⑦をナット④の六角形と嚙合わせる。
  • 締付レンチのアウターソケット⑦にてナット④を回転させ締付け、設定の締付トルクでナット④がこれ以上締らないことを感知すると、ピンテール部①を掴んでいるインナーソケット⑧が逆回転しボルトの破断溝②で破断させる。

(ハ)施工後

  • 締付レンチを取り外すと、破断したボルトのピンテール部①も取り除かれる。
  • 締付でボルト先端部のピンテール①が破断溝②で破断されることで、設定した締付トルクと締付軸力が満足されることが目視で確認できる。
  • 締付けの現場作業で、作業者の勘に頼らず、ボルトの強度に対応した締付軸力による破断溝の破断にて締付完了が目視化され、かつ規定の締付軸力が補償され、安全安心な締付に繋がる。

5. 締付性能の保証―ボルト試験結果

締付性能の保証―ボルト試験結果

ボルトトルク軸力試験(例-M20)

トルク試験機M36迄

トルク試験機M36迄

6. 締付信頼性の保証-振動試験結果(NAS式振動試験*)

NAS式振動試験

NAS式振動試験機で接合緩みを評価(M36まで対応)

上記のNAS式振動試験と振動試験後の残存締付軸力の、通常の六角4.8ボルトとトルシア形4.8ボルトの試験結果は下記の通りである。
①両方のボルトとも、M20 280Nmで締付けた。
②NAS振動試験の結果: 両方とも17分間の振動試験後のマーキングが一致していた。
③振動試験後の残存締付軸力(増締めトルク値で測定)は大きな差があり、締付信頼性が確認された。

通常の六角ボルト: 増締めトルク値180Nm(締付トルク値の64%)
トルシア形普通ボルト: 増締めトルク値260Nm(締付トルク値の93%)
通常六角ボルトに比べ、残存締付軸力(増締めトルク値で測定)は44%向上

当社は、2022年4月に創業60周年となりました。
そして2021年6月、経済産業省戦略的基盤技術高度化支援事業(略称サポイン)に「建設用部材に用いる緩み防止機能を有する冷間圧造高力六角ボルトセットの開発」が採択されました。
(特許第7090962号「ボルトの締結構造」令和4年6月17日登録)